5時間前
もうすぐ冬。岩手県では古来、豊かな発酵文化が育まれてきた。味噌(みそ)、しょうゆ、納豆に漬物、製品や酒など、長く愛される逸品がたくさんある。風土と微生物、人の手の三位一体で生みだされる魔法が、昔も今も地域を醸している。 ※本記事は10月30日付の日報総研に掲載されたものです。◇ ◇ このしょうゆに合わせるなら、あえて太めに切ったスルメイカ。薄造りの白身でも。とろみがあって魚によく絡み、口に運べば濃厚なうまみと優しい甘さが広がる。岩手には珍しい本格派の甘口しょうゆ。釜石市に蔵を構える藤勇醸造(小山和宏社長、岩手日報釜石広華会)の「富士醤油」は明治の昔から、人々に愛されてきた。鉄都釜石とともに生まれ、食品の枠を超えて当地の風土の一部を成す。だぶつく米の使い道 漁村が点在する辺境でしかなかった釜石が、明治の産業革命をけん引する工業都市となったのは1880(明治13)年。国内初の官営製鉄所である釜石製鉄所の操業開始による。釜石には良質な鉄鉱石があり、幕末には盛岡藩士・大島高任(たかとう)が小型洋式高炉で連続出銑(しゅっせん、鋼の元となる銑鉄を持続的に生産すること)にも成功していた。だが製鉄所は数年で頓挫する。大型高炉など設備投資が先行し、燃料調達から生産、販売までの一貫体制を欠いていた。

























































